7月25日 減量は 健康のためになると実感しました

本日 午前中に来院されたパグちゃんが 一つ期ぶりの診察でしたが なんと体重が13キログラムあったのに 本日はなんと9.5キロまで 体重減少していました。飼い主さんに出来たら体重を減らすように努力してください と何度もお願いしていましたが その飼い主さんも 私よりはましですが かなりの肥満体でいらっしゃいます。飼い主さんが 太っておられる場合 そのペットもかなりの割合で肥満している傾向は 間違いなく認められると思います。只減量出来たおかげで 血圧もほぼ正常行に入りましたし 心雑音の程度もかなり減少しましたから 心臓の状態が改善されたことは間違いありません。
私を含めて 太っている人間は どうしても己の食欲にまけてしまって 普通の体型の型よりも 間違いなく沢山の食べ物を口にしているのです。太っている体型は 残念ながら よく言われている事ですが 間違いなく万病のもとになるのです。私は今年還暦を迎えてしまいましたが 糖尿病と不整脈と言う心臓病をここ十年以上患っております。悲しい事ですが これらの病気は 頑張って治療したからと言って 完治することは殆ど期待できません。病気と上手にお付き合い願って 少しでも長生きさせてもらうように努めるしかありません。
肥満が万病の元であることは 人間に限らずすべての動物に共通の事象だと思います。本日来院したパグちゃんの場合も 肥満だけが原因ではありませんが 心臓弁膜症を患っていて 心雑を音が相当に強く聴診されていました。血圧も治療を始めた頃は 収縮期血圧 いわゆる血圧の上 と表現されている数値が200前後でした。拡張期 いわゆる血圧の下も150前後 ととんでもない高血圧を伴っていました。
始めて来院されて 診断したのが もう一年以上も前でしたが 興奮するとぜーぜー咳き込む自覚症状だけは 飼い主さんも自覚されていましたので 直ぐに気管支拡張剤と利尿剤の投与を始めました。食餌についても 人間の食べ物を中心に与えていましたので 取り敢えずはドッグフードしか与えないように 厳しく指導しました。飼い主さんがよくする言い訳は 「この子は ドッグフードは全然食べないので 仕方なしに自分たちの食べ物を 分け与えているのです」なのですが 人間も犬も 美味しいもの 口当たりのいいものを食べたい欲望は 当然あります。犬にとっては ドッグフードよりも 人間の食べ物の方が ずっとずっと美味しく感じるのは 含まれている糖分や塩分の関係から見て 当然すぎる事なのです。
ドッグフードと人間の食べ物の両方を目の前においてしまったら 犬が人間の食べ物を選択するのは 必然的な事なのです。犬という動物の塩分摂取適量は 人間のほぼ十分の一なのです。ですから 人間の普通に味付けされた食べ物には ドッグフードの十倍ぐらいの塩分が含まれているのです。人間も塩分は少し強めに効いている方が口当たりが良いので ついつい塩分を取りすぎて血圧の上昇を招いてしまうのです。犬が人間の食べ物を食べることは 塩分の取りすぎ所のレベルではないので 間違いなく高血圧症を起こしてしまいます。
こういう説明をすると飼い主さんがよくする言い訳は 「うちでは昔から 犬に自分たちの食べ残しを餌として与えていた」と言うのが多いのですが 昔の犬の寿命は 五年から長くて七八年位のものでした。勿論食べ物だけが早死にの原因ではありませんが ドッグフードの普及が犬の寿命を延ばしたことは間違いありません。室内で飼われる犬が増えて 生活環境が大幅に改善されたこともありますし 混合ワクチンやフィラリア予防などが広まったことに加えて 獣医学の進歩も多少は関わりあると思いますが 現在の犬の平均寿命は十五年プラスアルファ といわれています。日本人の寿命だって 信長の時代は 「人生五十年」と言われていましたが 現在の日本人の平均寿命は約85歳 と七割も伸びているのです。勿論人間の生活環境は進歩しましたし 医学的な知識が普及しましたから 長生きするための食習慣を含めた生活習慣についての情報は 巷に溢れていますから 長生きにつながっているのでしょう。
とにかくこの少し太めの飼い主さんにも 犬の食べ物についての改善を 何度も促してきましたが 太った私が言っても 説得力に欠ける部分が強い事は自覚していますが なかなか減量が進んでいませんでした。所が このひと月 蒸し暑い梅雨時から 夏本番を迎えましたから 人間もいい加減夏バテ気味かもしれませんが このワンちゃんも例年なら夏バテによる食欲不振とは無縁の子でしたが 今年はいつもの量与えても 三分の一位残してしまう状態が ここしばらく続いていたのだそうで その食欲の減退が正直に体重に反映されて かなりの減量につながったようです。
食欲の減退の原因が 単なる夏バテであれば 涼しいところに置いてあげるとか 暑い時期は散歩を止めてしまうなどの方法しか改善策がありませんが もし病的なことが原因であるのなら 直ぐに治療が必要です。念のために 慎重に問診と診察をしましたが 食欲不振の原因が見当つきませんでしたので 念のために血液検査を実施しました。この子は普段から肥満に連動した心臓病以外は問題のない子でしたが 血液検査の結果は 普段と全然変わりませんでした。更に飼い主さんとの問診を続けると いつもは来院されているお母さんが散歩に連れ出していたのですが 三週間ほど前から お母さんが足を 怪我したので お父さんが散歩に連れ出すようになったのだそうです。お母さんと同じ時間帯に 同じコースを散歩していたのですが お父さんに交代して 数日後からは 散歩を嫌がり出したのだそうで 現在は散歩をお休みしているのだそうです。犬とは想像以上にデリケートな動物なのです。
時間もコースも同じでも やはり連れて行く人によって 犬の好みに合う 合わないの違いがあるのかもしれません。お母さんの足のけがはほぼ完治しているのだそうで もうすぐ散歩に連れていけるそうです。お母さんが散歩に連れ出し始めると また食欲と元気が復活してしまい 体重などが元に戻ってしまわないかと心配です。もともと心臓に病気を抱えた犬の場合は 夏の暑い時期には散歩を控えることが望ましいので お母さんの足が治っても 当分はお散歩はお休みされることをお勧めしました。
秋になって涼しくなると 人間も夏バテとは縁を切れますし 涼しくなって食欲の秋を迎えると どうしても食べる量が増加してしまい 体重増加につながる方が多いのかもしれませんが この子の場合も せっかく体重が減少してくれたおかげで 心臓病の症状も相当に軽減していますから 何とか現在の体重を維持するように頑張って 飼い主さんに管理して頂きたいのですが 最初にも書きましたが 太った人間は 自分が食欲に負けやすいので ついついペットの食欲にも 甘くなりがちで心配です。
現在の状態を維持することが この子の長生きに間違いなくつながることを 繰り返し説明しましたが どのような経緯をたどるか 正直心配ですが 私が飼い主ではありませんから 見守るしかありません。飼い主さんが私の説明の真意をくみ取ってくれて 体重増加につながらないように期待します。

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